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放虫問題と飼育にかかる経費

飼育って結構お金がかかる

クワガタやカブトムシの飼育はとても時間とお金のかかる趣味です。
もちろん趣味の世界ですから、いくらかかっても気にしないと言う人もいるでしょう。
しかし子供たちにとっては、とてもおこずかいだけでは足りない趣味の世界ではないでしょうか。

私が1番危惧しているのは放虫問題です。
自分で飼育した虫がたくさんの卵を産み、幼虫、成虫になっていくのはとても楽しいことです。
しかしながら、たくさん生まれた時にかかる費用を無視してしまうと、結局あとで飼いきれずに幼虫や成虫を野に放すと言う行為につながってしまいます。

大人でしたらオークションなどで処分する方法もできますが、子供では親御さんなどが関与しなければとても無理なこと、野に放さずともせっかく生まれた命をむだにするだけの結果となってしまいます。

最近ではスーパーでも外来種が棚に並んで売っていて、まるでバーゲン品の様に格安で売っている種類もあります。
昆虫の専門店と違って、スーパーでは放虫問題を提議したり啓蒙したりする店は少ないようです。
特にスーパーでの購買層は子供さん達が多いでしょうから、売るだけでなく、親御さんに対して「放虫問題」の啓蒙活動も是非お願いしたいものです。

そこで費用の面から、新しく購入したクワガタ、カブトムシを50匹産卵、羽化させ、そのまま一年間飼育するとどれくらい経費がかかるか計算してみました。

試しに計算をしてみると

例 アトラスオオカブト
条件 成虫で購入し、産卵させ50個の卵を産む、マットで15ヶ月かかって成虫になり、その成虫を12ヶ月飼育する。
(途中死亡はないものとする)

●初期費用●
アトラスオオカブト成虫ペア1,000円
飼育ケース 小×21,000円
飼育マット300円
エサ皿 2コ500円
●産卵セット●
大ケース1,000円
産卵マット 10L600円
●幼虫飼育●
1回目プリンカップ200mL 50コ600円
2回目マット交換
プリンカップ 430mmL 50コ1,500円
飼育マット 10L×21,200円
3回目マット交換
飼育ケース 1500ml 50コ5,250円
飼育マット 10L×74,200円
4回目マット交換
飼育マット 10L×74,200円
5回目マット交換
飼育マット 10L×74,200円
●成虫飼育●
飼育ケース中×50コ37,500円
飼育マット(1年分) 10L×53,000円
エサ皿 48個12,000円
昆虫ゼリー @5×50×36591,250円
合計169,300円
一匹当たりの費用3,386円

例 ボルネオオオヒラタクワガタ
条件 成虫で購入し、産卵させ50個の卵を産む、菌糸瓶で8ヶ月かかって成虫になり、その成虫を 12ヶ月飼育する。(途中死亡はないものとする)

●初期費用●
ボルネオオオヒラタクワガタ成虫ペア4,000円
飼育ケース 2コ1,000円
飼育マット300円
エサ皿 2コ500円
●産卵セット●
大ケース1,000円
産卵マット    10L600円
産卵木      2本600円
●幼虫飼育●
1回目菌糸瓶 850mL×50本1,500円
2回目交換(半数は♀と考える)
菌糸瓶    850mL×25本7,500円
菌糸瓶   1500mL×25本16,250円
3回目交換(半数は♀と考える)
菌糸瓶    850mL×25本7,500円
菌糸瓶   1500mL×25本16,250円
●成虫飼育●
飼育ケース小   50コ25,000円
飼育マット(1年分) 10L×5 3,000円
エサ皿      48コ12,000円
昆虫ゼリー @5×50×24060,000円
合計170,500円
一匹当たりの費用3,410円

(単価はまるぼランド使用の資材を基準にして計算してあります)
(アトラスオオカブトは通常1年迄は生きません。一年生きていたらと考えてください)

上の表の様に1匹当たりの費用はほぼ同じですが、飼育期間がカブトとクワガタでは違いがあります。
虫の飼い始めはせいぜい5000円程度で済みますが、産卵させて新成虫を1年飼育していくと、莫大な金額がかかるのがわかります。
成虫に卵をたくさん産ませるのは良いですが、このあたりを注意しないと後で凄い出費を覚悟しなければなりません。

いわゆる「クワガタびんぼう」というやつですね。
この表には光熱費等を入れてませんので、実際はもう少し上の金額になります。

私もたくさんの虫を飼育しているため、毎日昆虫ゼリーが20コずつは消費されます。
しかも昆虫ゼリーを半分に割ってです。
そして色々な種類の虫がいますので、頻繁に菌糸瓶の交換やマットの交換をします。
その都度おこずかいが減っていくわけです。

そこで皆さんにお願いです。

●卵の産ませ過ぎに注意しましょう。

自分で飼育出来る数、処分(売ったり、あげたり)できる数だけにとどめてください。

●生まれた幼虫、成虫はなるべく自分で飼育するか、オークションなどで処分しましょう。

無料で手に入れた虫は粗末にしがちになります。
無料で他人にあげる時は、放虫をしない約束をしてもらってからあげましょう。

●飼いきれなくなった虫を野や山に放すのはやめましょう。

特に外来種は日本の虫の生態系を崩します。
あまり気がつかないのが産卵セットに使ったマットや産卵木、菌糸瓶、まだ卵や幼虫が隠れているかもしれません。

そのまま空き地などに放置したり、捨てたりすると見逃した虫が後から出てくるかも知れません。
もちろん外来種成虫、幼虫だけでなく、国産の虫でも採集した場所以外での放虫はしないで下さい。

●処分に困ったら昆虫標本にしてあげましょう。

これは人間のエゴです。
せっかく生まれてきた虫です、「一寸の虫にも五分の魂」という様に、もしかしたらご先祖様の生まれ変わりかもしれません。
なるべく生かす方法を探してあげてください。
生きた虫を殺すわけですから、最終最後の手段と思って下さい。
放虫は絶対にいけない事と言う思い切りも必要です。

特定外来種法の規制対象種から「ヒラタクワガタ類」や「オオクワガタ類」がかろうじてリストに乗るのが避けられましたが、これで終わったわけではありません。
随時状態を見て、また規制対象種に指定されるかも知れません。

こうなるとこれが突破口で、あれもこれもと種類が増えて行く可能性も否定できません。
そうなった時、図鑑や写真でみた外来種を日本で飼う事が出来なくなってしまいます。
そうならない為にも、一人一人の心がけが大事だと思います。

2005-8(まるぼランド)

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