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クワガタ飼育用冷蔵庫

このクワガタ飼育用冷蔵庫は切り替えスイッチで冷却、加温の両方が可能です。
能力は箱の大きさによっても変わりますが、冷却で16℃程度まで、加温で50℃ぐらいまでの温度が可能です。

温度制御は使用する温調器の精度に依存しますが、以下に書いてある2号機では0.1℃単位の温度設定が可能です。
工作の精度により能力の違いがかなり出てきます。

まるぼランドも製作以来、1年を通じて使用していますが、飼育には欠かせないものなので、3号機も計画中です。

現在、夏はミヤマクワガタ、ヒメオオクワガタ、ネプチューンオオカブト、サタンオオカブトの飼育に19℃~19.5℃の設定で冷却にて使用。
冬はサタンオオカブト、ネプチューンオオカブトの幼虫飼育に19℃~19.5℃の設定で加温にて使用中です。

以下の注意書きを読んで工作をお楽しみ下さい。

ご注意!!

このページをご覧になって、自分も作ってみようと思う方に。

電気と水を同時に扱うような状態になりますので、くれぐれも感電と火災に気を付けて下さい。
この情報を元に製作されて、事故や火災があっても一切の責任はとれません。

どうぞ自己責任で製作してください。

PDFファイルへ PDF版はこちらから(1.07MB)

クーラーユニット部分の詳細です。

クーラーユニット部分の詳細

基本構成図が右記の様になります。能力を左右する以下のことに注意して製作して下さい。

1.ペルチェ素子、ヒートシンク、バッファー板をそれぞれ張り合わせる(熱の伝達)のに使う素材の選択が重要です。

手軽に済ますにはシリコンを薄く均一に塗布し、ペルチェ素子とバッファー板、バッファー板とヒートシックのそれぞれを張り合わせるのが良いでしょう。

熱で動いたり、外れたりすることがありますから、シリコンコーキング材又は耐熱性の接着材を使って固定します。それぞれの部品がきちんと密着(ある程度の圧力で)していないと熱の移動が出来ません。

2.ペルチェ素子は裏と表でかなりの温度差が出ます。

厚さも4mm程度しかありませんので、断熱材を使用して、HOT側、COOL側の熱の切り離しをしなければ、反対側に熱が伝わってしまい、極端に能力の低下を招きます。

3.ペルチェ素子は最大電圧で使用するより定格の70%~80%程度の電圧で運用したほうが効率が良く使用できます。

最大電圧で使用しても無駄に熱が発生して、その為に余分に放熱をしなければならず返って効率が悪くなります。

4.バッファー板は熱伝導率の高いものが良く、出来れば厚さ10mm程度の銅板、無ければアルミ板を使用して下さい。

10mm以上は必要ないですが、なるべく厚い方が効果があります。大きさはペルチェ素子と同じか、それよりも少し大きいサイズにします。大きすぎたり小さすぎたりすると、構造的に熱の遮断が難しくなります。

5.細かい部分の隙間はスタイロフォームなどを切ったり、薄く削いだりして加工し、つなぎ目の隙間はシリコンコーキング材で完全に塞ぎます。(接着材代わりにもなります)


6.軸流ファンは出来る限り風量の大きい物を選択して下さい。

その分放熱の効率は上がりますが、騒音も上がりますのでご注意下さい。

7.ヒートシンクはできる限り大きめの物を選択して下さい。特に外部で使用するヒートシンクは排熱効果の大きいものが必要で、内部のヒートシンクはそれ程大きいものでなくても可能です。

クーラーとして使用の場合、庫内側のヒートシンクから、かなりの量の結露水が滴り落ちます。

庫内側軸流ファンの設置位置は結露水がファンに垂れない位置に設置して下さい。設置場所を誤るとファンが防水型でない限り、直ぐに壊れてしまいます。


全体図は下記の様になります。

クーラー全体図

容器部分は出来るだけ断熱性の高い、スタイロフォームがベストですが、発泡スチロールでも可能です。

言えることは、容器の素材が厚ければ厚いほど又、隙間が無ければ無いほど断熱性能が良くなります。

薄い発泡スチロールの容器を使用する時は、外側にもう一枚断熱シートなどを被せてあげると、断熱効果が高くなります。

ペルチェ素子のW数、ヒートシンクの大きさ、軸流ファンの風量にも拠りますが、容器の大きさは50~60リットルが限度でしょう。

もう少し大きい容器を使用したい時は、ペルチェ素子の消費電力の大きいものでなく、2個、あるいは3個とクーラーユニット数を増やすことによって可能ですが、それなりの消費電力と、ファンの騒音を覚悟しなければなりません。

1号機は通い箱(発泡スチロール製)を利用して組み立てましたが、それなりの温度で使用できています。

クーラーユニットを容器側面に取り付けする方法も考えられますが、ヒートシンク~ペルチェ素子間をネジなどを使って確実に固定したものでないと、密着が悪くなり、返って効率が悪くなります。

特にシリコンコーキング材で固定する場合は、容器上面に設置した方が軸流ファン、ヒートシンクの自重でそれぞれの部分に若干ですが圧力がかかりますので、密着の度合いは良くなります。


AC100V 軸流ファン仕様結線図です

AC100V軸流ファン仕様の結線図

AC100V用軸流ファンを使用した時の結線です。

この回路の利点は電源にDC12Vの出力が1系統しか無い場合、ペルチェ素子の設定電圧を下げると、軸流ファンの供給電圧まで下がってしまい、軸流ファンの回転数が落ちてしまい、能力を最大限に利用できなくなってしまいます。

その点、AC100Vの軸流ファンを使用していますので、常に最大風量を確保することが出来、放熱効果が下がる心配がありません。

2回路連動のスイッチは冷却、加熱の切替用に付けたもので、単機能で良い場合は無くても問題ありません。


DC12V 軸流ファン仕様結線図です

DC12V軸流ファン仕様の結線図

この結線では、軸流ファンとペルチェ素子が同系統の電源で結ばれている為、ペルチェ素子の電圧を落とすと同時に軸流ファンの電圧も下がり、風量が落ちて放熱効果が下がってしまいます。

2系統のDC12V出力(独立で電圧設定可能な)の電源があれば、ペルチェ素子に10V、軸流ファンに12Vといった設定が出来ますが、そういう電源はかなり高価です。

コンピューターで使用している、ATやATX用電源を利用する時は、AC100Vの軸流ファンを使用した方が間違いはないと思います。

もう一つの欠点は、サーモスタットでDC12VのON、OFFを繰り返すと、サーモスタットの接点の寿命が短くなります。

製品によって時間の差はあると思いますが、一般的にACで利用した時の方がDCで利用した時よりも接点寿命が長くなります。


これがペルチェ素子本体、55Wです

ペルチェ素子の写真

メーカーにもよりますが、55W、80Wの商品が販売されています。

リード線はプラス、マイナスの各1本で極性を逆にしてあげることにより、冷却面も逆転します。

放熱対策をせずに電気を通すと、加熱しすぎてすぐに壊れますので、ご注意下さい。 又、それぞれの面の温度が急激に上昇、下降しますので、直接さわると火傷や低温による接着などが起こりますので注意して下さい。

ペルチェ素子側面(厚みの面)がシールされたものと、シールされていないものがありますので、防水性の高いシール品を利用して下さい。

参考購入価格 900円


熱を効率よく伝える為のシリコンです

シリコンの写真

常温では粘度が高いのですが、温度が高くなると低くなります。なるべく薄く均一に塗ることが大事です。

あくまでも面と面を接着した時の隙間を埋める役目をするもので、必要以上に厚く塗るとこの部分で熱を遮られてしまいます。

使い方はペルチェ素子、バッファー板、ヒートシンクの面に少し塗りつけて、定規などを使って、薄く均一に延ばします。

シート状の、高熱伝導グラファイトシートやゲルシートもありますが、ネジなどを使用して圧力をかけなければ、効果を発揮できませんので、工作の難度が高くなります。

ヒートシンク~バッファー板~ペルチェ素子~バッファー板~ヒートシンクと全部で4箇所塗布する必要があります。

参考購入価格 200円


バッファー板の厚さ10mmの銅版です

銅版の写真

バッファー板を使う目的は熱を誘導する為と、広い面積に均一に熱を伝える為に使います。

ペルチェ素子は厚さ約4ミリしかなく、ペルチェ素子に直接ヒートシンクを貼り付けて使うことは可能ですが、断熱性能と容器に固定する事を考えると、4ミリの厚さの中で全てを収めるのは工作上とても難しいことです。

そこでバッファー板を使うことにより、バッファー板の厚さ分だけ断熱層と容器の固定に余裕が生まれ、工作もし易くなります。

又、ペルチェ素子より少し大きめのバッファー板を使うことで、より広い面積に均一な熱を伝えることになり、よりサイズの大きいヒートシンクに熱を伝達し易くなります。

但し、ヒートシンクとバッファー板が隙間なく取り付けてあれば問題がないのですが、少しでも隙間があるとそこで熱の伝達を妨げられて、使うことが逆効果になってしまいます。

使用する大きさは、ペルチェ素子と同じ大きさか、ペルチェ素子より少し大きい大きさに切って使用します。

加工時の注意として、ペルチェ素子との接触面やヒートシンクとの接触面を傷つけないように、又バリなどが残っていないように注意します。

傷やバリがありますと密着度が悪くなり、熱の移動が妨げられます。

切断時には表面にガムテープなどを貼って傷がつき難くしてから、切断作業をして下さい。

参考購入価格 1800円


アナログ式の温度調整器です

アナログ温度調整器の写真

この温度調節器は一般に売っている、温室用や熱帯魚水槽のものとは違って、温度が下がったらON、設定温度になったらOFFの動作と、温度が上がったらON、設定温度になったらOFFの2つの動作を選択できるタイプです。

熱帯魚用や温室用は温度が下がったらON、設定温度になったらOFFの動作しかありませんので冷却用途(加温用途には使える)には使用できません。

アナログ式はデジタル式に比べて温度設定の精度が低く、取り扱いに注意が必要です。具体的には、設定温度でON、OFFするには2度以上の温度差がなければ作動しません。

たとえば設定温度17℃の冷却動作なら、17℃を中心温度で考えて、18℃に温度上昇するとスイッチがON、運転が始まって16℃まで温度下降するとスイッチがOFFと、常に2℃の温度差が必要となります。

デジタル式の場合は、この温度差が0.1℃から設定できるので、より精密な温度設定が可能です。メーカーにもよりますが、通常この温度差の精度を「DIF」と表示されている場合が多いようです。

冷却、加温の動作切り替え時は、温度調節器の設定とペルチェ素子のプラス、マイナス極性も変える必要があります。

写真の温度調節器のメーカーは、松尾電器産業製で参考購入価格(秋葉原) 6、000円


寄せ集めの部品で作った1号機です

飼育クーラー1号機の写真

エラフスホソアカクワガタを買ってから最初に製作した冷蔵庫です。

なにしろ、エラフスホソアカクワガタを買った時は虫に関して全く知識が無く、むし社でエラフスホソアカクワガタのかっこ良さと値段だけで買ってしまい、しかもこれから盛夏となる頃のことで、暑さに弱いなんて知っていたら、絶対に買わなかったでしょう。

成虫を買って数日は発泡スチロールの通い箱の中に、冷蔵庫で凍らした冷却材など入れていたのですが、一日に何度も冷却材を取り替えたり、温度が下がりきらなかったりと大変でした。

急遽、必要に迫られて製作に取り掛かった為、部品のほとんどは家の中にあるものを利用して作っています。

容器は「◎協」の発泡スチロール製通い箱、電源は余っていたコンピューター用AT電源(120W)、ファンとヒートシンクはペンティアム4用(¥500)の物を秋葉原で購入、後で外側ヒートシンクの放熱効果を上げる為にブロアー(¥500)を追加購入。

容器内にはヒートシンクとソケット7用の小さい軸流ファンがセットしてあり、冷却されたヒートシンクに風を当てて、容器内部の温度を均一にできるような構造になっています。

ペルチェ素子(55W)は千石通商で(¥800ぐらい)、一番高価だったのは温度調節器で、アナログ式で松尾電器産業製(秋葉原田中無線で¥6000ぐらい)。

AT電源の電源スイッチ回路を温度調節器のリレー接点に接続して、ペルチェ素子、軸流ファンが動作するようにしました。

他にバッファー板(ペルチェ素子の熱を均一に拡散させる為の板)アルミの300×50×8ミリ(¥1000)のバー材を50×50ミリに切断して使用しています。

◎能力

・夏(冷却動作)

小型の飼育箱1コ、1.5リットルの飼育マット入りのタッパ2コ、入れた状態で外気35℃で容器内17℃(エラフスホソアカクワガタには丁度良い温度)

・冬(加温動作)

外気5℃で容器内20℃の設定に(冬はハムスターの飼育用に使用)加温動作は温度調整をしなければ40℃ぐらいまで上昇します。

◎長所

夏、冬、春まで使えて便利

◎短所

アナログ式(回転ダイアル)式の温調器なので、温度設定が大変。

温度調節器の仕様で、最低2℃の温度変化が起きないとリーレーが作動せず、温度の設定範囲が大雑把な感じがする。

最初に温度計で実際の温度を計測して、誤差を確認しないと、とんでもない温度になってしまう。

これは温度センサーの設置場所次第で温度差が出てしまうので、事前にセンサー設置場所の温度計測が欠かせません。


こちらが少し改良を加えた2号機です

飼育クーラー2号機の写真

幼虫がたくさん生まれて手狭になったので改良型を作りました。容器は押入れでおもちゃ箱となっていた、コールマンのクーラーボックス(65リットル)です。

電源(12V 150W)はデンセイラムダ製安定化電源(¥5000)
ヒートシンク 150角(¥1500)
ファン 150角 (¥4000)
容器内軸流ファン 100角(¥500)
容器内ヒートシンク 100角(¥500)
ペルチェ素子 80W(¥1000)
バッファー板  50×50×8ミリ(アルミ製)1号機製作時に購入
温度調節器  デジタル式、松尾電機製(¥10、500)
冷温切替スイッチ(2P 6端子)(¥500)


大風量のファンです。

軸流ファンの写真

動作時はとてもうるさいです。そのかわり良く冷えます。

ヒートシンクの大きさと同じ寸法のものを用意します。外径が同じ大きさなので、ヒートシンクの取り付け用の穴にぴったりと合って、取り付けがとても楽です。

外径が大きくても静音タイプの物は一般的に風量が小さいようです。大きさにとらわれず仕様をよく調べて購入して下さい。

大風量の軸流ファンが手に入らない場合は、複数のファンを使います。

ヒートシンクに直に取り付ける軸流ファンと、ブロアータイプのファンを、ヒートシンクに向かって2方向から吹きつけることによって、風量を補うことができます。


デジタル式の温度調節器です。

デジタル温度調整器の写真

1号機と同じ松尾電器産業製、デジタル式です。0.1℃単位のON、OFF設定が可能です。

又、設定上限温度にON、設定下限温度でONの2通りの動作設定ができますので、冷却時、加温時と切り替えだけでこれ1台で済みます。

この機種の場合、写真下側2端子が接点、写真上側2端子が温度センサーの端子となります。使用可能温度範囲は-20℃~60℃です。

接点容量が10Aとかなり余裕があるので、冬場には電気ヒーターを継いで小部屋を温室に出来るなど、幅広い用途があります。


裏ぶたに取り付けた軸流ファンです

庫内のヒートシンクとファン

ヒートシンクからは冷却時に、多量の結露水が滴り落ちますので結露水を受ける対策が必要です。

結露水によるファンの破損を考えてファンを横に設置します。ファンはシリコンコーキング材を利用すると1日で簡単に固定ができます。

内部に入れた飼育ケースも結露水がケース内に落ちない様、対策が必要です。

内部のファンはヒートシンクの熱を強制的に容器内に吹き出すのと、容器内の温度を均一にする目的で取り付けるので、それ程大きい軸流ファンを使用しなくても大丈夫です。

ちなみにエラフスホソアカクワガタの飼育ケース内に結露水が多量に入ってしまい、溺死してしまいました。ご注意を!!


全体の写真です

軸流ファンと安定化電源とケース

夏冬切り替えはスイッチ(赤白のボタン)により、が可能です。その他、温度調節器の動作設定、上限温度、下限温度の設定が必要となります。

◎能力

・夏

小型の飼育箱3コ、入れた状態で外気35℃で庫内21℃(エラフスホソアカクワガタにはちょっと暑い温度?)

・冬

外気3℃で庫内25℃(冬はエラフスホソアカクワガタ、サタンオオカブト幼虫、ネプチューンオオカブト成虫用に20℃で使用)

◎長所

夏、冬、春使えて便利

デジタル式温調器なので、0.1℃単位の温度調整が可能、精度も高いので安心して使える。

◎短所

クーラーボックスの蓋の部分が思っていた程は断熱性能が良くない。

クーラーボックスは、厚さ2ミリ程度の樹脂の二重構造で、中に空気層だけで断熱材を充填していない為、外部の熱を庫内に伝えやすい。

ヒートシンク、ペルチェ素子から発生して容器に伝わる熱、高温側のバッファー板から低温側のバッファー板への熱の回りこみの断熱などを、工夫しないと極端に効率が悪くなってしまう。

現在、バッファー板を銅版の10ミリの厚さのものに変更して効率アップを図ると共に、容器内に10ミリぐらいのスチロール板を張り付けて、断熱性能を高める計画中です。


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