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セミの羽化観察記録

羽化したセミ

猫が道端でセミの終令幼虫をもて遊んでいるのを子供が見つけ、猫を追い払って助けました。
早速家に持ち帰りカーテンにつかまらせてみましたが、何度やっても一番上まで登ってカーテンレールから滑り落ちてしまいます。
ちょうど私が家に帰ると、妻と子供がカーテンの下で手を広げて、滑り落ちてくるセミの終令幼虫を受け止めようと格闘中でした。
そこでちょうど良い大きさの枯れ木を探してきて、花瓶のような入れ物にさしてからセミの終令幼虫を止まらせました。
しばらく上がったり、下がったりしているうちに気に入って貰えたのか、枯れ木の先端近くでおとなしく止まってしまいました。
この様子だと明日の早朝には羽化するのではと思っていたのですが、止まって40分もすると羽化を始めてしまいました。
そこで、時間を追って羽化の過程を観察しました。


カーテンに登るセミの終令幼虫

20:55
子供がカーテンにセミの終令幼虫を止まらせました。
どんどん上に登って行き、やがてカーテンレールに体重を乗せると滑って落ちてしまいます。
何度やってもうまくいかないようです。
妻と子供がカーテンレールの下で手を広げて、落ちてきても受け止められるように準備をしています。
しかし何度やってみても繰り返し、うまくいかないようです。

羽化する場所を探しまわるセミの終令幼虫

21:00
家に帰ると、妻と息子がカーテンの下で、今にも落ちて来そうなセミの終令幼虫を受け止めようと、必死に格闘中です。
状況を聞いてから、ちょうど良い大きさの枯れ木をさがしてきました。
自然の状態では土の中から地面に出て来ると木に登り、木の幹や枝、葉の上などに移動しますが、たまに塀の表面などに登る虫も見かけます。
花瓶のような容器に枯れ木を入れて、カーテンに止まっているセミの終令幼虫を移動しました。
最初のうちは枯れ木を上に登ったり、下に降りたり、花瓶の縁を歩いたりと落ち着きなく移動して羽化する場所を一生懸命さがしているようです。

羽化場所を決めた様子

21:01(経過時間の基準点)
あちこちと動き回っているうちに枯れ木の上まで登りつめたかと思ったら急に動きが止まりました。
その場所を気に入ってくれたのか、羽化の時期が近ずいていて場所を選んでいる時間がないのか、その場所でじっとしています。
どうやら動きが止まったようです。
この様子だと明日の早朝にも羽化しそうだなと思い、一安心してセミの終令幼虫から皆目を離しました。

突然セミの羽化が始まった

21:40(39分経過)
羽化か始まった!!。
突然の子供の声に慌ててセミの終令幼虫の側まで駆け寄りました。
既に背中側に亀裂が走り、中の成虫の頭が少し露出し始めています。
頭が先に殻から出てきて、目も殻を通して見つけることができます。
殻のなかにいる時は小さくなっているのか、先に外に出てきた頭だけが風船を膨らましたように大きくアンバランスに見えます。

近ずいて見ると

21:41(40分経過)
よく観察すると、1分に1回ぐらいの割合で痙攣するようにブルブルと体を震わせて、そのたびに体が少しずつ出てくる。
ちょうど人間がきつい洋服を脱ぐときと同じような動作です。
そのブルブルという音も、周りが静かだととてもよく聞こえて、まるで携帯電話の振動音のようにも聞こえます。
やがて目の部分も殻の外側に出てきました。

背中が割れて

21:43(42分経過)
体の40パーセントぐらいが殻の外側に出てきました。
体の色は全体的には白で、翅になる部分や頭の縁にあたる部分は綺麗な薄緑色をしています。
よく見ると体の中が透き通っていて、体の中がよく見えます。
体の大きさから比べるととても大きな目(複眼)で、目だけがとても目立ちます。
上の方を見て行くと触角も見えます。


半分ぐらい体が出てきた

21:46(45分経過)
体をブルブルと震わせるのを繰り返しながら、体の半分くらいが出てきたようだ。
体を殻の延長線方向に抜け上がっていて、すでに殻の前脚よりも高い位置まで出てきました。
体の側縁に見える緑色の部分は翅になる部分で、未だ体が抜けきっていないようです。

体を少しずつ後ろに反り返って

21:49(48分経過)
前脚の部分が出てきていますが、両方の脚は合わせたままです。
クワガタやカブトムシなどの完全変態をする種類の蛹は、やはり同じ様に前脚をぴたりと合わせて蛹に変態しますが、不完全変態するセミでも同じような過程を踏んで羽化していくのでしょうか。
頭の位置がやや下に下がってきたようです。

翅が見えてきた

21:51(50分経過)
体の70パーセントぐらいが殻の外に出てきました。
翅が塊のままだが全て殻の外に出てきました。
ぴたりと合わさっていた前脚が動きはじめたようです。
脱いだ殻に前脚を伸ばして、つかまっているように見えます。
頭の位置が前よりも下がってきていて、体がほとんど床と水平になりました。

少しずつ翅をひらいて

21:52(53分経過)
体にぴたりとくっついていた翅の塊も、左右に広がり始めています。
離れた状態で前翅、後翅を見ることができます。
セミが飛ぶ時は前翅の後縁と後翅の前縁をつなげて一枚の翅のようにして飛びます。
前縁と後縁にはお互いに引っかかる部分があり、飛ぶ時には瞬時につながり、翅をとじるとつながりが解けるという構造になっています。
脚は前脚だけでなく、中脚、後脚全てが出てきました。
羽化後、樹液を吸う時にに使う長い口吻も見えてきています。
複眼と複眼の間には3個の個眼も確認できます。

どんどんと体を反り返します

21:57(58分経過)
どんどんと頭の位置を下げてきます。
体をぶるぶると震わせるのは止まっています。
このまま抜け落ちてしまうのではないかと心配するほどです。
前脚は動いていますが、中脚、後脚は合わさったままで、まだ動かないようです。
殻からは幼虫時代につながっていたと思われる、管の跡が4本飛び出しています。

ぶら下がるような状態になりました

22:08(1時間9分経過)
完全に頭が下の状態になりました。
前脚、中脚、後脚共に動くようになったようです。
翅も前翅の中に後翅が重なり、うまく収まったようです。
羽化の過程で無駄なプロセスは無いのでしょうが、どう言った目的でこのような逆立ち状態になるのか、とても不思議です。

今度は体を起こし始めました

22:17(1時間18分経過)
体を起こし、前脚、中脚、後脚を使って、脱いだ抜け殻につかまりました。
どうやら最後まで抜け殻の中に残っていた腹の部分を引き抜くために、脚で殻を掴んで手掛かりにしようとしているようです。

脚を使って抜け殻につかまります

22:18(1時間19分経過)
やっと体の全部が外に出ました。
羽化が始まってから38分で完全に殻から抜け出ることができました。
抜け殻に脚でしっかりとつかまっています。
翅は固まっていますが、確実に開き初めています。
前縁の緑色がとても綺麗ですが、やがてこの色の部分は色素が沈着してきて、黒色ないしは茶色になってきます。

翅が開きました

22:24(1時間25分経過)
固まって折れ曲がっていた前翅が完全に開きました。
完全に脱出して6分を経過しています。
翅の表面は白色で、ちようど花びらのようにしっとりとしていて、厚みも感じられます。
翅の前縁はまだ緑いろのままで、よく見るとうっすらと緑色の翅脈が確認できます。
ここまで来ると後は体を乾燥させるだけのプロセスです。

翅や体が色付いてきました

0:30(2時間31分経過)
抜け殻の横に移動しています。
頭部は茶色に色がついてきています。
前胸背板(頭の下側)はまだ色がついていません。
翅はほとんど出来上がっているようで、翅面に模様が浮かび上がり、翅脈もはっきりとしています。
腹部はまだ色がついてなく、肛門の部分も完全に腹の中に収まっていないようです。

眠くなったので、ここで観察を終わらせました。
朝にはりっぱな「アブラゼミ」の成虫となっていて、子供が近所の木の幹に止まらせてあげました。
5年近くも土の中で過ごし、表面に出てくるタイミングが悪ければ羽化も出来ません。
羽化しても1週間程度の短い命、この子孫が残った生まれても地上に出てくるのは5年先になります。
そう思うとむやみに採集しないで、夏らしいセミの声をいつまでも聞ければ良いなと思います。 (2007-7-30)

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